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子供の運動と健康 ~運動神経を高めるコツ②~

2023.08.14

 子どもの頃(特に幼少期~中学生)の運動習慣は、姿勢・健康・体力面だけでなく、学習能力や集中力、そしてメンタル面にも大きな影響を与えています。前回の記事では、乳幼児期の運動習慣がどのように運動神経の発達に影響を与えているのかをお伝えしました。今回の記事では、立った時の姿勢が運動神経に与える影響とその改善方法についてお話します。

<姿勢と運動神経に影響を与える体の軸>

 動物の中で唯一、2本脚だけで歩いて動けるのが人間です。2本脚で立って動くために、体のバランスがとても重要なのですが、このバランスが崩れてしまっている子が非常に多くなっています。これも幼少期の頃の運動習慣が影響しています。歩き始めた頃に、どこかに掴まって歩く練習をしていて転んだ経験が少ない子は、体をバランスよく支えるための深部の筋肉(インナーマッスル)よりも、手っ取り早く使いやすい表面の筋肉(アウターマッスル)が発達してしまい、体の中心軸を感じ取る力が低下しています。そういう子は大抵、真っすぐ立っているつもりの姿勢が、かなりの前傾姿勢になっているので、一度チェックしてみてください。脳が認識している真っすぐの姿勢と実際の姿勢にズレが生じている状態です。本来であれば、疲れやすい表面の筋肉(アウターマッスル)は使わずに立てるはずなのに、余分な筋力を使って姿勢を保持しているために、疲れやすくて動きにくいという事態に陥っています。

 また、体の深部の筋肉(インナーマッスル)を上手に使えているかどうかが、運動神経の発達にも影響を与えています。これらの筋肉を使えば使うほど、運動神経が刺激されて発達しやすくなるのですが、あまり使っていないと刺激が入らないので、発達しにくくなるのです。関節をどちらの方向にどの程度動かすかを微調整しているのが、このインナーマッスルなので、インナーマッスルを上手に使えるようになると、体を思い通りに動かすことが簡単になり、運動能力が高まります。

 インナーマッスルを上手に使えていると、体に軸が通りやすく、姿勢が良くなります。そして、体の軸が整っていると、インナーマッスルが働きやすくなります。これらは相互に関係しているので、子どものうちにしっかり整えておくと、バランスの整った身体になります。

ここからは、体の軸を作るための体操を紹介しますので、是非お子さんと一緒にやってみてください。

<体の軸を作るMotto棒体操>

①体の軸を作る基本のMotto棒体操

割り箸か未使用の鉛筆を2膳(2本)準備してください。真っすぐに立って、それらの棒状のものを、外くるぶしと内くるぶしを結んだラインの下で踏みます。棒の上に体重を乗せて、踵(かかと)を着いたまま、膝(ひざ)を前後にぶらぶらと動かします。この時、前腿やふくらはぎに力が入っていると、上手く膝を動かすことができず、骨盤が大きく動いてしまいます。できるだけ脚全体の力を抜いて、楽に立てるように練習しましょう。棒の上に上手く体重を乗せられるようになると、自然と姿勢が整って、体に軸が通る感覚がわかるようになってきます。

 詳しいやり方は、こちらの動画をご確認ください👇

②Motto棒体操(前後屈編)

①で紹介した基本編と同様に、棒の上に立ち、足の裏を全部着いた状態で、つま先に体重を乗せて前屈します。次に、足の裏を全部着いた状態のまま、踵(かかと)に体重を乗せて体を後ろに反らして後屈します。前屈と後屈を交互に2~3回程度繰り返します。このように意識して前屈動作と後屈動作を行うと、股関節の前側と後ろ側の筋肉が伸ばされて、体の前後のバランスが整いやすくなります。

詳しいやり方は、こちらの動画をご確認ください👇

<運動神経を高めるコツ②補足&まとめ>

 今回紹介したMotto棒体操は、朝や運動前に行うとより効果的ですが、テレビを観ながらや歯磨きをしながらなど、棒の上でリラックスできる状況が作れれば、ある程度の成果は得られます。棒体操をして、体の軸とバランスが整った状態で運動を行うことによって、インナーマッスルが活性化されて、自然と上手な身体の使い方が身に付きやすくなります。1日に2分程度行うだけでも変化を感じられると思うので、毎日少しずつやってみてくださいね。


臼井 美由紀

からだRe創作Motto 代表  理学療法士/スポーツトレーナー
公式HP