子どもの頃(特に幼少期~中学生)の運動習慣は、姿勢・健康・体力面だけでなく、学習能力や集中力、そしてメンタル面にも大きな影響を与えています。これまでの記事で、①乳幼児期の運動習慣がどのように運動神経の発達に影響を与えているのか、②立った時の姿勢が運動神経に与える影響とその改善方法をお伝えしました。今回の記事では、見落とされがちな肩まわりの筋肉の重要性についてお話しします。
<逆立ちできない子は要注意!肩まわりの筋肉の重要性>
今、逆立ちができない子が増えています。以前は小学校の運動会で当たり前のようにほぼ全員ができていた逆立ちですが、今はできない子の方が多いのではないでしょうか。0歳の頃にハイハイや擦り這いをする機会が少なくなっていることが1つの原因ではないかと思いますが、肩まわりの筋肉が発達していない子が非常に多く見受けられます。
肩のまわりには、大きく分けて2種類の筋肉が付いています。1つは、三角筋や上腕二頭筋などの表面に付いている筋肉で、もう1つが、肩の深部で骨を支えている“インナーマッスル”と言われる筋肉です。幼少期にハイハイや擦り這いをあまりやらなかった子は、この“インナーマッスル”が未発達で、肩や肩甲骨を正しい位置に保てておらず、ボールを投げたり、腕を振ったりするなど、肩を動かす動作がやりにくくなっています。
肩まわりの筋バランスが崩れていると、身体全体のバランスも保ちにくくなるため、腕を使った運動がやりにくくなるだけでなく、持久力の低下や俊敏性の低下などにも影響を及ぼします。
<肩まわりの筋バランスが整った立甲の状態>
上の写真のように、四つん這いで、肩甲骨を立てた状態を立甲と呼んでいます。この状態を保つためには、肩まわりの“インナーマッスル”がしっかりと働いていて、背骨や肩甲骨まわりの余分な筋肉の力は抜けていることが必要です。
この状態が保てるようになると、肩まわりの筋肉をバランス良く使うことができ、
〇速いボールを投げられる
〇強いボールを投げられる
〇腕を素早く振ることができる
〇持久力がUPする
〇俊敏性が高まって、切り返しの動作が速くなる
など、運動神経を飛躍的に高めることができます。
こちらの動画でやり方など解説しているので、やってみてください👇
<肩まわりの筋肉を鍛える方法/手押し車>
肩まわりの筋肉を鍛える方法として、手押し車をお勧めします!!
手押し車のやり方は、ご存知の方が多いと思いますが、両手を床に着いた状態で、両脚を持ち上げてもらい、手を一歩ずつ前に出して進みます。お腹に力が入っていないと、腰が反って力が入りにくくなってしまうので、お腹にも力を入れて、体のラインを真っすぐに保った状態で前に進めるように練習をしましょう。脇を締めるように意識しておくと、肩に力が入りやすく、疲れにくくなります。手押し車は、手を着いて進む側だけでなく、脚を支えている人のトレーニングにもなるので、親子でやる場合には、子どもが手を着いて進む側だけでなく、交代でどちらもやれるように取り組んでみてくださいね。
手押し車のトレーニングはこちらの動画でも紹介しているので、観てみてください👇
<運動神経を高めるコツ③まとめ>
今回の記事では、運動神経を高める方法として、肩まわりの筋肉の重要性についてお伝えしました。肩まわりの筋バランスが崩れていると、運動神経に影響するだけでなく、猫背や肩こり、肩や肘の痛みの原因にもなりやすいので、子どものうちに上手に鍛えておくようにしましょう!
臼井 美由紀
からだRe創作Motto 代表 理学療法士/スポーツトレーナー
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